第20回 「イアンゴムの軽自動車サウンドの巻」

イアンゴム! そのルックス以外は完全にオーケーなこのとっちゃん坊やは
ポップなロックをやらせたら天才的。
なんといっても声がイイ。歌がうまい。
ギターもコンパクトでキャッチー!
彼はファーストが有名だが僕は断然セカンドの「ホワットアブロウ」派。
1曲目からばっちりなロックンロール、シティ派(笑)
ソウルまで「ポップである事」を軸にいろんなサウンドが楽しめます。
しかもこのアルバムは曲によって二つのバンド、
つまりロックっぽいバンド、ソウルっぽいバンドがそれぞれの得意な曲を演奏していて
しかもそれがとっちらかずに「聞き手が飽きない」方向にむかっていて、
まさしく名盤といえるシロモノです。
このソウル風バンドにはハービーフラワーズが参加していて
これまたグルービーで硬質なベースを聞かせてくれます。
カッチョいい!

アルバム製作にからんでるマーティンラシェントは
ジェネレーションXにおいてもそうですが
クリアな音像のクセにAMラジオ的なパンチのある音、
いわばFM/AMサウンド!をつくるのが非常にうまく
このアルバムでも最高にそれがいかされています。

「早い安いうまい」が僕のパブロックの定義ですが
このアルバムこそ「それ」なので
みんな投売りされてるカット盤をひろって
一緒にこの名盤をたのしもうじゃありませんか!
(21st.Aug.03)

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"WHAT A BLOW" IAN GOMM
 

 
 第19回 「柳腰のジョージフェイムの巻」

コステロのとある12インチのB面で
「ポイントオブノーリターン」という曲を知った。
それはめちゃくちゃイイ曲だったのだが
今風のサウンドで覆われていて
それがちょっとなーといった感じだった。
この曲のオリジネイターは未だ知らないのだが
ふとレコ屋でみたジョージフェイムのアルバムに
その曲が入ってるのを発見。早速帰って聴いた。
これがいいんだなー
悪い意味じゃなくほどよいぬるま湯加減で。
そのアルバムはアメリカ盤のファーストで
いま英原盤と聴き比べても
選曲、音質ともに勝ってると思う。

幸せな出会いをした僕は
さらにアメ盤セカンド、サードを探して聴いた。
どれも音がパリっとしててイカしてた。
彼はホントにソウルを理解しているひとの一人だと思う。
それもオーケーレーベル系の涼しいブリージンな感じは
彼が一番うまい。

コステロも彼の大ファンらしく
雑誌で「サウンドヴェンチャー」のイギリス盤をもって
にんまりしつつ彼のスムースな声を絶賛してた。

とするとコステロが手本にしたのは
ジョージフェイムのバージョンかもしれないね?

一番好きな曲は「スイートシング」!!
サイコウのロンドンスイングが聴ける曲です。
(20th.Aug.03)

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"FAME AT LAST" GEOGIE FAME & THE BLUE FAMES
 

 
 第18回 「いやートッド先輩なめてたっすよ! ナッズの巻」

トッドラングレンは全然好きじゃなかった私。
ムーブフリークのワタシは
マルチプレーヤー/ソングライターとしては
断然ロイウッドのほうが凄いと思っていた。
あのサムシングエニシングもドラムがキモッ!って感じで
頭3曲ぐらいしかもたないのだ。

ナッズもファーストだけは持っていたが
オープンマイアイズだけじゃん!イイの!!
とこれまたほって置いた。

そしてある日原盤オタクのワタシは
オープンマイアイズの7インチと出会う。
ヘッドフォンで爆音で聞いて
「このバンドーめちゃくちゃすごいんじゃないか?」
とすこし思い直す。

まあセカンドもチェックすっかなーとライノCD「NAZZ NAZZ」を購入。

ドカーン!!!!!!(僕の心のビッグバン)
こ、このよさはいったいなんなんだーーーーーーーー

この一曲めforget all about itは
ほんとに未来から降ってきたようなサウンドなのだ。
僕はくやしくてくやしくて100回ぐらいリピートした。
(なぜなら僕の頭の中でなってたやりたいサウンドとほぼ近似値だったから、、。)

トッドのコードは徘徊老人的というか
アアおじいちゃんそんなところにいっちゃったの?
というような意味不明な動き方をするので
バンドメンバーはさぞやりにくかった事だろう
じっさい他のメンバー主導のナンバーは凡庸なハードロックが多く
時の試練をうけまくりだ。

トッドはポップの魔術師というよりは
非常に実はシンガーソングライター然とした人だと思う。
コードがあれだけたくさんなのも
言葉のひとつひとつにそのこのことばにはこーんな感じの響き、、、。
とポツポツあてはめてつくってたからだと夢想する。
resolutionとかまさにそんな曲で怖いくらいにうっとりしちゃう感じです。

あとナッズはみんな美男子なのもいいよねー!
特にドラムの人なんてすげえかっこいいよ!!
あああこがれちゃうなー!!
(4th.Jul.03)

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"NAZZ NAZZ" NAZZ (1969)
 

 
 第17回 「ソウルを神棚からひきずりおろすキッズ達 スモールフェイセズ1stの巻」
 
  スモールフェイセズは世界で一番最初のハードロックだ。
元来ハードロックはR&Bのディフォルメハード化、
いってしまえばソウルのデリケートな部分を無くして
衝撃の部分だけを抽出したようなものだが
スモールフェイセズの面々はそれのオリジネイターだ。

ハンブルパイの頃には完全にロイクになられるマリオットだが
この頃はまだシャカリキシャウターであり白っぽさがちらほら。
ギターも常に力いっぱい。
ロイクの風呂上りっぽい洒脱な感じは無い。
(1)

バンドもロイクのアタックの部分だけを執拗に再現する、、、。

なぜ彼らにこういう事ができたかというと彼らに
ロイクへのありがちな忠誠心や劣等感
(2) といったものが
「皆無」だからだ。

彼らはソウルをきいて俺たちにできるぜ!!という闇雲なパワーだけをもらい
何も恐れる事なくバッカンバッカンやってたに違いない、、、。

それが世界でまれに見る衝撃的な音に昇華したのだから
やはり若さプラス才能ってすばらしい!!!

注(1) それが出来ているのはジョージフェイムなど、、。

注(2) エリック某氏を代表とする連綿たるながれ。
(19th.Jun.03)

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"SMALL FACES" SMALL FACES (1966)
 

 
 第16回 「需要と供給を破壊するウィザード」

ここに一枚のアルバムがある。
WIZZARD/WIZZARD’S BREW
このアルバムこそがロイウッドが真にやりたかったものだと確信する。
ウィザードはシングルでは英国流のフィルスペクター解釈
(1)
聞かせてくれる大風呂敷なポップバンドだがこのアルバムではちがう。

ワイルドでアグレッシブでダーティかつ異様にプログレッシブという
離れ業を成し遂げたこのアルバムでは全篇においてロイが
気合のはいりまくったギターソロ
(2)
これぞロック!といった名唱を聞かせてくれる。
とくにバッファローステイションという曲でのキレ方は
まじで胸のすくようなかっこよさだ。
またこのレコードではツインドラムが最高に効果を発揮していて
LRに振り分けられたそれぞれのドラムはまるで四輪駆動のバギー。
ヘッドフォンすると耳がなぎ倒されるような感覚が味わえる。
そして何より特筆したいのがホーンの逆回転やムーグの効果音といった
スパイス的なモノまでこのアルバムでは必然的な音の暴力として存在している点だ。
そう。この感覚はいままでロイのレコードにはなかった、、、。

ロイはこのレコードでいわゆる(ロックおたく)をこえて真のパフォーマーに変化した。
ただひとつ残念なのはその音質があまりにこもったロウファイなものという点で
聞く人を限定してしまっている点だ。
(3)

なによりもこのアルバムは聞いていて何かやる気のようなもの
=ロックが腹の底からフツフツとわきあがってくる所が素晴らしく、
僕の音楽に迷った時のよりどころでもある。
ああ!今日も聞かないと!!

注釈(1) 英国の人たちはフィルスペ=エコーと勘違いしている。
あのでかいリズムこそがフィルスペクターだと分からない所が減点対象。

注釈(2) ロイはギターマガジンの表紙は無理にしても白黒ページで
特集を組まれるほどの技量とオリジナリティはもっていると思う。

注釈(3) ロウファイというより単に悪い音ともいえる。
ブートなみと考えてもらえればいい。
(12nd.Jun.03)

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"WIZZARD'S BREW" WIZZARD (1972)
 

 
 第15回 「ポップなディランはミュージックラバー/エルビスコステロ&アトラクションズの巻」
 
  コステロはロック界でもっともソングライティングに革命を引き起こした人のひとりで、
ある時期(インペリアルベッドルーム)までは常に自己鍛錬を絶やさず
発明とでもいうべきコード進行
(1) プラス詰め込みすぎの歌詞(2)
というオリジナルな地平を切り開いた人である。
楽器が弾ける人はコピーをするとさらに目からボロボロ鱗であろう。
(3)
ボーカリストとしても前川清とおなじく音程の上下のビブラートではなく
音量でビブラートするという変なクセがあり
それがなにか魂の深い所をえぐられてるような錯覚をひきおこす要因でもある。

そして彼のバンドアトラクションズも最高に歌の邪魔をしまくるプレイヤーぞろいで
キーボードはつっこみまくり、ベースはリズムをささえるつもりはまったくといってなく、
ソウルパンクなドラマーだけがコステロと呼応する
といったアンビリーバブルな魅力が満載のバンドである。
一人一人が他のプレイヤーとかぶらぬフレーズを弾き続けるその様は
ニューウェーブでプラスチックなミーターズといった所か?

コステロのエモーショナルな歌唱、数学的なソングライティング、
勝手なバンドサウンドといった合わさる事のないモノが
奇跡的にあっていた初期は本当にかけがいのないモノだった。
おれは好きだね。ああ好きだね。

何をかくそう若い頃の僕の理想のバンドは(プレイヤーの連載風に言えば)
アトラクションズ全員プラスジミヘンといった意味ない感じの
あれでしたからね。

補足(1) 初期ではノーダンシングのコード進行がめちゃオシャレ。
インペリアル期は全曲すさまじいコードプログレッションでくらくらするが
ボーイウィズアプロブレムは特にぶっとんだ覚えがある

補足(2) 彼の歌詞は王様は裸だ!といってしまうような痛快さと
底なしの暗さが共存していて僕の人生感に非常に、何度も、
これでもか!!と影響を与えた。

補足(3) 洋書でスコアがでているので是非チェックしてください
(10th.Jun.03)

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"THIS YEAR'S MODEL"
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS (1978)



"TEN BLOODY MARYS & TEN HOW'S YOUR FATHERS"
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS (1980)
 

 
 第14回 「真のオリジネイター モビーグレープの巻」

彼らに興味をもったのはもちろん我が最愛のバンド「ザ・ムーブ」が
ヘイグランマをカバーしてたからにほかならない。
はっぴぃえんどの連中が影響をうけたうんぬんも勿論頭のかたすみにあった。

俺はEDSELのモノミックス再発を手にいれた。
ヘイグランマからスタート。
「こ、このギターの音ははいからはくちのシゲルとおなじやんけ!!」
とつっこむ俺。
聞き進めるほどにゼッペリンのあれににてるナンバーなど多数。

彼らこそミュージシャンズミュージシャンだと俺は思う。
彼らの革新性はルックスの地味さ、オリジナルメンバー製作のアルバムの少なさ。
リーダーのラリラリさによって現在はなかなか浸透してないように思う。

なによりあれだけハードなナンバーであれだけハモルというのがなんともあたらしい
そこらへんはムーブもちゃっかり自分たちのものにしているようだ。

そして彼らはプレイヤーとしても個性派ぞろい。
リードギターは滅多に語られないが白人サイコーのギタリストの一人だろう
ベースの完全に自己流のウォーキングもイカス!

失敗談。
ヘイグランマのオリジナル7インチのプロモ白ラベル
よっぱらって帰った次の日、目を覚ますとそのレコが
ベッドのうえでコナゴナになっていた。
いまだに信じられない、、、。
何をしたかったのか、、。俺。
(3rd.Jun.03)

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"MOBY GRAPE" MOBY GRAPE (1967)
 

 
 第13回 「片思いと書いてシフォンズと読むの巻」

どう考えてもガールグループ界最強のシフォンズについて書きます
彼女たちとの出会いは柏ユニオンにて
80年代ごろのインパクトレーベルから出た編集盤で
いつも通りたいした期待もなく自転車のかごにいれて帰ったものでした。
ガールグループにありがちなのが「曲はいいけどヌルくねえ?」
といったもので シレルズなどがその方面。
しかしシフォンズのサウンドはパンチがあってかつプログレッシブさ、
つまり新しさを伏せ持つ理想的なアレンジが施されています。
(アップオンザブリッジを聞け!)
僕はこんな事が60年代に起こっていたなんて!という奇跡に驚きました。
ソングライターもキャロキン、トーケンズのおじさん達であり
彼らのクオリティ攻めに小生もアップアップですよ。
僕が特にいれこんだのがアウトオブディスワールドという曲で
サイコーにコード進行がオシャレでコズミックなんだよなー(ウオー!)

というわけで彼女たちのオリジナルアルバムは2万円の価値はあります。
CD化が進まないのはなんででしょうね?
(22nd.Apr.03))

-back-

 
"ULTIMATE COLLECTION" THE CHIFFONS (bootleg)
 

 
 第12回 「最高の偽バンド エジソンライトハウスの巻」

まず彼らは架空のバンドでありシンガー以外は
スタジオミュージシャンがつとめている。
TV出演やジャケには関係ない若者たちがニッコリ。
いわゆる芸能界だ。
それなのにこのバンドはすごーーーく良いのだ。
まずほとんどの曲を書くトニーマッコウレイがすごすぎ。
ほとんどワンパターンのサビ前にダ、ダ、ダ、というメロが
必ずといっていいほどあるのが笑えるが
その絶対的な口ずさめ率は神がかりですよ。(バートバカラックと真逆です)
そしてそのサウンドは偽ソウルなんですが
グルーブしてるんですねーこれが。
特にベースの人はチョーすごいです。
トニーバロウズ名義のマイメラニースマイルなんて絶品。
こんな偽バンドがほとんどの真正バンドの音を
かるーく凌駕しているのが情けなくも凄いトコですねー。
このバンドを聞いてバンド幻想がさらにふっとびましたよ。
だれが弾こうがよけりゃオッケーみたいな考え(ある意味シンプル)が
僕の基本になりました。
どうせビーチボーイズもバーズもキンクスも
みーんなドラムがトラだったりするわけで、、、。
その楽曲がよくなるのであれば
手足(ミュージシャン)は誰のでもいいという結論に達する俺でした。
(9th.Apr.03)

-back-

 
"THE BEST OF "EDISON LIGHTHOUSE
 

 
 第11回 「ランディーニューマンをきいて死にたい気分になろうの巻」

ランディニューマンとの出会いは
お茶の水ユニオンのなげ売りコーナーにおいてであった。
当時大のコステロファンだったワタシは
たしかあのおっちゃんが影響を受けたと言ってたけんまあ300円ならいっかー
というノリで確かファーストとライブを2枚買いした。
まずファーストに針をおとした。
美しい映画音楽にのってしわがれ声のひどいヴォーカルが響く、、、。

彼のメロディはおそらくブルースリフにのせて
適当にくちずさんでできてくるタイプのものだ。
だからイメージより洗練されてはいない。
ただそれがキレイにオーケストレーションされている。
そこが変。

歌詞を読んでみる。
最高にシニカルな情景が平易な言葉で書き綴られていて
したたかに感動したワタシ。

なんてひねくれてるんだ!このおっさんは!!(まるで俺みたいだ、、。)

ライブ。これも名盤です。
少ない観客とのコミュニケーションをピアノと歌だけでこなす
このやぶにらみの親父はかなりあなどれません。

セイルアウェイもオススメです。
(8th.Apr.03)

-back-

 
"RANDY NEWMAN" RANDY NEWMAN (1968)