第30回 「絶対に自分なんか見せないぞぉ!! ELOの巻」 ジェフリンの特徴は必ずといっていいほど自分の声にエフェクトをかけるところだ。 70年代ならまだしも60年代のアイドルレースの時代からそうなのだから筋金いりだ。 そう。彼のポップ感は自分無き所にこそ存在する。 たとえば歌のダブルトラック。 ビートルズをお手本とすればどんなに悲壮な歌詞でもダブルにする事でポップな感じ、 自分じゃない感じ、要は漫画チックになるわけだ。 そのブルース度(スプリングスティーン度)ゼロな所が、 真摯なロックファンにはムカツクとこではないだろうか。 彼はビートルズファンでもおそらく後期派で、 「ウォーラス」のような雲隠れのようなサウンドにこそ熱い、 それこそGジャン半袖な程のシンパシーを抱いたにちがいない。 ゆえに彼のロック魂はそう。みんなと同じでアナザーウェイなだけだ。 彼のホワホワ趣味はなんとドラマーにまでダブルトラックを強要! よってあの変態べブべヴァンはシンプルなリズムを叩かざるを得なく、 「オレの個性がー!!」って感じであんまいい思い出がないそうだ。 でもそのおかげであのつかみ所の無いサウンドになっているのだからシャー無いね。 まあ他にも「オベイションライン繋ぎシャラシャラ攻撃」など いろいろなファクターが重なり合ってあのサウンドが出来ているんだが、 要は「意味の無いことはデッカクやらな、男じゃない!」 というシークレットメッセージを受けたものだけが喜べるバンドって事で。 (5th.Jan.04) -back- |
"A NEW WORLD RECORD" ELECTEIC LIGHT ORCHESTRA (1976) |
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第29回 「息子よ、昔はチューナーがなかったのじゃよ」 ローリングストーンズの巻 |
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ストーンズのなんか不良っぽくてダーティーな感じはどこからくるのか? それはあの天才チャーリーとキース二人の生み出すグットリズム、 はたまたメンバーのルックスなどの他にもうひとつ最高に見落とされた要因がある。 それは「チューニングてきとーーー」という点だ。 彼らの時代はもちろんチューナーなどなかったし、今の環境とくらべるのはおかしいのだが それにしても「てきとー」すぎるのである。ライブはさらに「てきとぉおおおお」である。 その利点。 1.戦前ブルースに漂うあのいけない感じを容易に再現できる。 彼らはブルースおたくだがあのいけない感じはチューニングの「てきとー」さにあることを 耳のよさと偶然によりなんとなく体現してしまった。 2.なんか耳につく 「きれー」なチューニングのバンドにくらべてラジオですぐ「こりゃストーンズだね」とわかる。 3.なんかもどかしい感じがだせる。 メジャーのキーの曲なのになんか暗いなーと思ったら案の定「チューニングてきとー」な時が多い。 ジャンピンジャックとかもそうね。 よくミックの歌が下手だとか聞くけどあのチューニングであそこまで歌えればすごいですよ。 今のストーンズが変わってしまったのはローディーがばっちりチューニングを合わせてしまったからだ。 あの「もどかしい感じ」がないだろう。 ストーンズをコピーしてるキッズ達!まずチューナーをドブに捨てな。 (19th.Dec.03) -back- |
"LET IT BLEED" THE ROLLING STONES (1969) |
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第28回 「構造を燃やし尽くすAC/DCの巻」 彼らほどイメージと音の乖離が見られるバンドは珍しいと思う。 たとえば「レットゼアビーロック」。 最初のコードの響きがもう崇高である。 音が実体化してモノリスのようにそこにある感じは 他のバンドが成し得ていない境地だ。 しかしアンガスは短パンとランドセルという 最高にくっだらない格好をしている。 まさに「無意味無意味無意味」だ。 彼らの曲には無駄がない。それは構造を熟知しているからだ。 もしかしたら製作担当のあのアイデア番長の 元イージービーツの兄が一枚噛んでいるかもしれない。 (イージービーツは惜しかった。バンド的体力が曲に追いついていなかった。 AC/DCは鋼鉄化したイージービーツともいえる。) とにかく音にはアホさ加減が皆無なのである。 音響的にはステレオ向かって左に最高のリズムギターのマルコムが 012からの極太弦特有の中低音がこわばった音を出し、 右のアンガスがスーパースリンキー弦の高音がシャリーーーンな音を出し、 それが全ての音域をフルゲインでカバーしているというのが特徴。 ボンスコットは結構破綻なくうまく下品な声を出し、 そしてリズム隊はズーーッと「リズム隊」だ。 特筆したいのはマルコム兄であんなにハイテンションで、 リズムがまったく揺れずにキレイでハードな音を出すギタリストを僕は他に知らない。 彼こそAC/DCサウンドの礎だ。 (12nd.Nov.03) -back- |
"LET THERE BE ROCK" AC/DC (1977) |
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第27回 「言葉のサウンドトラック スクイーズの巻」 かの誰もいなくなったヴェルヴェッツのラストアルバムから その名前を拝借するあたりから 「ひねくれてんなー」って感じが満載のスクイーズ。 初期はホントにオリジナリティが満載だった。 ファーストは打ち込みプラスパンクリズムに ジミヘンみたいなソロが載るという かなり変態ロックをやっていた。 だれもついてこれないと思ったのかセカンドでは モンキーズをフェイバリットにあげていたグレンが ポップメロディを炸裂させている。 そしてそのコード進行だがこれもいっちゃってる系で トッドとはまた別のわけのわからなさがある。 これには要因があってかれら グレン(メロ)クリス(歌詞)は完全に分業で しかも詩先だそうだ。 だから歌の内容にそってコードがどっかにいってしまうのだ。 だからリズムも半拍かけてたり平気でする。 一番笑ったのが5thの中の「アイブリターンド」と言う曲。 普通のエイトの曲だが「ウェナイウェイクアップインザモーニン♪」の 歌詞の部分で急にシャッフルになるのだ。 これはもちろんブルースにありがちな出だしの歌詞に反応した グレンのおもしろセンスだと思う。 という具合に音楽オタクへのサインもたくさん含まれているので その筋の人にはたまらないだろう。 彼らが日本のボウイに死ぬほど濃い影響を与えたのは有名で ドラムのロートタムやルート音だけのベース、ギターのセンスなどもろバレである。 とくにギターソロ、その執拗なメロディアスさは 「グレンー布袋ービジュアルショック」と 系譜が作れるぐらいで 実はこのスクイーズが日本のロック界に残した軌跡は 気づかれてないだけで デカイのではないかと思えてならない。 (10th.Oct.03) -back- |
"SQUEEZE" SQUEEZE |
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第26回 「クールアンドザ●ャングとおもわず伏字の巻」 クールアンドザギャングはJBやスライにある ある種の知的さといったものが100%ない理想的なファンクバンドです。 以下想像。 『いやーとにかく「オ●ン●」したいっぺーどうすればいいだか?』 『それにはバンドやってモテルしかないだっぺ』 『それは名案だっぺ!』 『でも俺たち詩なんか恥ずかしくて書けないっぺ』 『インストでいいだっぺ』 『それもノレルヤツがいいだっぺな』 とまあこんな感じにはじまったのではないのかと。 彼らの音は程よいテキトーさかげんでいっぱいです。 チューニングは?だし、リズムもいいかげん。 でもなぜかファンキーなのです。 ヤリたいだけの悪ガキが楽器をもったら結構出来ちゃった系です。 だからヘッドフォンで聴いてるとだんだん 家で聞いてるのがバカらしくなります。 とにかく分析不可です。 しまいにはレコードをフリスビーにして遊びたくなります。 でも、でもですよ、彼らのDeーLite時代の音は かなり圧倒的なヌケのよさを誇っています。 このヌケというランキングだとかなりの世界レベルだと思います。 いわゆるパーティやディスコなどの喧騒渦巻く中、 重要な事は「聞こえる事」に他なりません。 悪ガキたちもおのずと磨かれてったのでしょうな。 (10th.Oct.03) -back- |
"KOOL AND THE GANG" KOOL AND THE GANG (1969) |
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第25回 「ジェームスブラウンの脳内革命の巻」 いわゆるJBのイメージは暑苦しい程にエネルギッシュとか そういうたぐいのモノだと思う。 でもぼくにいわせりゃ彼の音楽に泥臭さはあまりなく、 頭できいても充分脳が震えるに足る。 初期はいわゆる歌モノソウルにいそしむ彼だが 60年代後半からメロディのない世界、歌もインストみたいなトコにいく。 充分に初期のままでも人気があったのに そのスタイルを破ってまでも新しい音楽の創造に突っ走った彼は 真にイノベイターでありめちゃくちゃカッコイイ。 第一あのファンク、「エイントイットファンキーナウ」などの曲にみられる ワンシークエンスでグングンいくというのは非常に過激であるし、 ファンが見上げてしまうに足る音楽としての高度さがあったはずだ。 でもJBはそれを彼のカリスマ、熱、簡単にいうと人をひっぱる才によって ポップフィールドに引き摺り下ろした。そこが凄い。 楽器のアレンジに関しては個々の音が個別に鳴りながらも パーツパーツで合わさるのが特徴。 一つ一つの楽器のリフでも充分いけるのに それが重なっても美しいという奇跡的なもの。 頭が良くなきゃこんなアレンジはできません。 オススメアルバムはスタジオ盤なら「イッツアマザー」。 めずらしく捨て曲なしに楽しめるニューダンスアルバム。 ライブ盤ならCDのみのライブインダラスがおすすめ。 これは有名なアポロシリーズより先に聴くべき。 ほとばしるグルーブにJBのまぶしい歌唱、すべてが輝いている。 マジで足腰立たなくなるほどの感動をあなたに。 ライブアルバム史上5本の指には確実に入る事を断言しよう。 (8th.Oct.03) -back- |
"IT'S A MOTHER" JAMES BROWN (1969) |
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第24回 「ルーツのみえないジョ二ミッチェルの巻」 この人との出会いはワイト島フェスティバルの映画で、でした。 ロック兄ちゃんたちの中でアコギを持った彼女は異彩を放っていました。 アルヴィンリーのアゴのあとに彼女のホオ骨がキラリ! ぼくは美しいとはいえないそのツラにまずインパクトを受けました. そして彼女は明らかに変則チューニングのギターで 「ビッグイエロータクシー」という曲を披露しました。 彼女の声はまるでフルートです。 吹き抜ける風のようなサウンドは 汚ったねぇワイト島を少しだけキレイにしました。 まずこの人は「あーこういう音楽が好きなんだろうなー」とは 微塵も感じさせないとこがすごいです。 だんだんフュージョン化してく中期は僕的にはアレでして。 天才はうす塩に限ると思う僕は 彼女の弾き語りにこそ新しいフィーリングがいっぱいだと断言したいですね。 オススメは「レディースオブキャニオン」です 少ない音数でこれだけ新鮮な響きを聞かせられる人がいるでしょうか? 使ってる楽器だけでフォークといわれるのは実にあほらしいです。 彼女は6本の弦だけで未来を表現できた天才としてその範疇を超えています。 (6th.Oct.03) -back- |
"LADIES OF THE CANYON" JONI MITCHELL (1970) |
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第23回 「ボトムがなくなりゃニューウェーバー ウィズザビートルズの巻」 |
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ビートルズはセカンドで急激に変化した。なにがって? ボトムがまるでなくなった。これに尽きる。 マネーみたいな曲をきけばわかるが そのせいでファーストよりも段違いで新しい感じになった。 この感じというのが重要で構造が急に新しくなったわけではない。 要はボトムをなくす→ニューウェーブ化(セカンド) /ボトムを強化→アーシー化(ファースト) というのが音質のみで出来るということをしめしたのがこのアルバムだ。 少しずつ曲づくりの妙を覚え始めたビートルズ、 イットウォンビーロングはおしゃれなアイデアがたくさんで かっこいい。(エンディングの美しさ!) ポールははっきりいってまだまだだ。 とくにキー設定が低すぎて派手さに欠ける曲が多い。 (オールマイラビングもライブだと歌いずらそうだ。) このときまでは完全にジョンのバンドだったことがわかる。 それにしても最初からジョージの曲は完全に先輩の遊び場と化し 無駄なパーカッションがたくさん入れられて気の毒。 ポールはきっと「つまんねえ曲だなーもたせるためになんかアイデア、、。」 と思ってたに違いない。 (後に自分でリードを弾きだすのにくらべりゃかわいいけどね) (4th.Sep.03) -back- |
"WITH THE BEATLES" THE BEATLES (1963) |
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第22回 「世界でもっともブルージーなファーストアルバム ビートルズ/プリーズプリーズミー」 |
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ビートルズ聴き始めの頃はほぼ中期から後期までだけのファンだった。 初期はまだ青臭いしアイデアもあまりないしなにより音が軽いと思っていた。 いまはちがう。 特にこのファーストアルバムに顕著だが彼らは実は非常にヘビーなバンドである。 ヘビーさとは音だけではない事わかるよね。ママン。 圧倒的に他のバンドと聞いた時の質量が違うのだ。 30分そこらのアルバムなのにおなかいっぱいなるのだ。 プリーズプリーズミーみたいなアホっぽい曲がなぜこんなにしみいるのか? やはりこのバンドの持つ業の深さ、ソウルのでかさが それをただのポップソングにしない。 音楽の構造をみてもそんなに新しいものじゃない。 でも魂の乗せ方が新しかった。 後のおもしろ下降コード進行(セクシーセディなど)の片鱗がみえる いわば唯一構造美を持った曲は「アスクミーホワイ」のみだと思う。 曲をつくる人は分かるがこのサビのとこのコード進行の発見はでかかった。 このバリエーションをつかった曲には名曲が多い。 ジョンのいけない感じの得意技だ。 あとビートルズのアルバムが飽きない最大の理由は シンガーが4人もいるということだ。 どんなに歌のうまいシンガーでも14曲は聞いてて すこしバリエーションに欠ける。 これが最高にデカかった。 彼らは来るアルバム時代にも最初から対応型のアーティストだったのだ。 --ウィズザビートルズへ続く-- (4th.Sep.03) -back- |
"PLEASE PLEASE ME" THE BEATLES (1963) |
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第21回 「オッス!ストラングラーズ」(バーチャル編) 「いやー俺悩んでてさ、、、。」 「どうしたんだジャンジャック?」 ヒューは彼の顔を覗き込んだ。 「昨日買ってきたギター、低い音しか出ないんだ、、、。」 ヒューはぺグの数を数えた。 「いち、に、さん、し、、、。これベースじゃん、、。」 「えっホント?」 ベースとギターの違いさえ分からないジャンジャックに ヒューは呆れた。 「そうか!気分が晴れたよ!!これがベースかーウオリャー!!」 ジャンジャックは正拳突きよろしく力の限り弦をヒットした。 ゴキーン!!!! アンプが軋む音がした。 ジャンはさらにうろ覚えのジミヘンのソロフレーズを弾いてみた、、、。 ゴキゴキガキコキキーン!!!! 「いやーベースってやつもイカスジャン!!ロックっぽいね!!」 ヒューはあきらめて自分も力の限りストロークする事にで対抗した。 ジャキキーン!! そして昔聞いたストーンズの曲を替え歌にして歌ってみた。 「サムシンガタチェーンジ!!」 ジャンジャックへの怒りのせいか、その声はほの暗い凄みを感じさせるものだった、、、。 ピロリロピロリロピロリロピロリロ、、、、。 顔とおなじくらいインチキなフレーズが遠くから聞こえてきた。 デイブだ。 「あいつはいっつもアルペジオだ、、、。」 さらにヒューの怒りはヒートアップした。 「サブシンガタチエエエーーー!!!!」 チチタタズシズシ!!!! それまで地蔵のように固まっていたジェットブラックもやっと起きだしたようだ。 「オ、オ、オレの自由な演奏の余地は残ってねえだ、、。としたら、、、、、 リズムキープしかねぇ、、、、。」 ガギゴキチチズシピロリロジャキーン!!!! 「いやーバンドって楽しいねヒュー!ところでオレもコーラスってやつ、 付けてみていいかい?」 「、、、、ああ、、。いいよ、、、。」 「そっか!おれハリキルよ!!ダブシンガタゲーンジ!!!!!」 ヒューの怒りは既に度を超したものになっていた。 「腹いせに明日はジャーナリストでも拉致っちゃおうカナ、、、、。」 ストラングラーズの夜はふけていく、、、。 --以上パンクはじめて物語より抜粋-- (1st.Sep.03) -back- |
"BLACK AND WHITE" THE STRANGLERS (1978) |
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